血管内治療の報道が、数日前TVで放映されていた・・
めったに意識してTVを見ないのだけれど・・
この日は たまたまTVをつけていた。偶然といえば偶然・・
必然といえば必然・・・
私の場合・・ある意味懐かしさ、というか・・彼との想い出が
よみがえる報道であったと共に・・やっと取り上げられた・・・
そんな感覚も心の片隅に存在した。
このブログでも新血管内治療のカテゴリーで治療については
書かせていただきました。
一歩踏み込んで検索をすれば、おそらくクリニックのことは
調べる事ができたと思います。
けれどあえてリンクを貼らなかったのには、少し理由がありました。
彼と選択した治療の数々には、今でも「あの時こうすればよかった」
という後悔はまったくありません。
いろんな治療法を試みながらも、100%完全に継続し続けた療法は
なかったし、継続を中断したのは彼の意思と、その彼の意思に沿った
私の意思でした・・・
癌が動き始めた時、今にして思うのですが 表向きには言い表せない
ものすごい不安や恐怖・・焦燥感が湧きあがってくるんだと思います。
今行なっている治療で大丈夫なんだろうか・・・癌に立ち向かっていく
事ができるんだろうか・・・
「信じる力」・・「自分の心と体」を信じる力が、もっとも大切なことだと
そういわれています・・・痛みと不安の連鎖は、いったん始まると
なかなか手強いウイルスです・・・
特に、性格的に結果を急ぐ彼でしたから・・おそらく早く次の手を打た
なければという本能的なものが働いたのかもしれないなと・・・
今だから、少し冷静に彼の本音的な部分を感じる事があります。
今回紹介されていた血管内治療は、内容的には彼が受けた治療と
同じようなものだと感じました。使用されている薬剤は違うだろうけれど
理論的に考えれば、全身抗がん剤治療で 癌細胞を殺傷する・・けれど
正常な細胞たちをも傷つけるよりは、副作用及びQOLの低下等のリスク
を考えると理想的な治療だと思います。
エビデンスを待たずして、藁にもすがりたいと思う 癌患者さんの気持ちは
経験してきただけに痛いほどわかります。
また、藁にすがって・・治療を続けられるうちは良いのですが、希望の光が
足元を照らした時に見え隠れする闇に、彼自身、自分の命の価値について
葛藤が起きた時期があったのも事実です。
そこには自由診療という壁が大きく関係していました。
私は、いくつか所有している不動産のひとつを売ってでも・・
もっと言うならば、借金してでも・・彼の命が救えるのなら救いたい・・・
そう思っていました。けれど縮小するものの完治はない・・延命のみ・・
その現実に彼は「死にたくなんてない」と思うものの、今の状態で財産を
投げ出すほど生きていても意味はあるのだろうか・・というような自分の
命の値踏みをしていたように思います。
それでも自身の「終わりの時」は、こんなふうにありたい・・と思い描けて
いる時は「希望」につなげていたのですが、本当に体が・・呼吸がきつく
なってきた頃には・・その心は貪欲な癌細胞によって「希望」という栄養
まで食べつくされていった気がして、切なく・・心苦しい時間でした。
ひとつひとつの治療との出逢いも、癌細胞の進行時期や性格・・そして
心の状態とタイミングがあえば、必ず奇跡はおきる・・
いえ、奇跡は起こせる・・そんなふうに思います。
日々進化していく癌治療と、医療制度の正しい改革によって
1日でも早く、1人でも多く・・癌で辛い想いをされている患者さんや家族
の方の「希望」が「輝く命」に繋がることを祈ってやみません・・・