北九州から戻り・・・しばらく穏やかに過ごした時間・・・
彼は、あの日A医院には再診する気はないという理由を、一気に
語って以来、2度とA医院の事を口にすることはなかった・・・

フコイダンは今までどおり飲むつもりのようだった・・・
いつもの販売店に注文のTELを入れた際、今回の仲介役をしてくれた
方が「受診されていかがでしたか?」と聞いてきた・・・
私は、彼が語った事を、そのまま伝えた。
「そうでしたか・・それは、申し訳ありませんでした」
彼女に色々言っても、どうにもならない事だとわかってはいたけど
それでも、5ヶ月近くフコイダンを通じて、彼の経過を共に
喜んだり、励ましあったりした間柄だと思っていたので・・
素直に、彼と私の受けた印象を伝えた・・・
患者としての私たちの言葉が、A医師に届いたかどうかは
わからない・・・
少なくともA医師の心に届いて欲しいと願うだけであった。

これは、私の独り善がりなのかもしれない・・
何故なら、彼はその医師に入るであろうマージンを
本を読んで聞かせた時から、いつも話していた・・・
私が「凄いよ!このフコイダンの効果!」と心弾ませて言う度に
医療で使用する薬と称するものには・・ちゃんと裏があるんだよ!
と、冷めた発言をしては、私のテンションを下げていた。

それでも、彼がフコイダンを最後まで飲み続けたのは
その医師を信じたのではなく、フコイダンそのものを信じた
からだと思う。自分が飲んでみて実感できるものがあったからこそ
1本、4万2千円もするフコイダンを飲み続けたのだと思う・・
もしかしたら、途中で「やっぱり自分の癌には効果はない」と
承知しながらも、今まで投資したものが無駄なものだったと
認めたくなかったのかもしれない・・・
抗がん剤をやめて、フコイダン療法だけで過ごした期間に
実際、癌の縮小も腫瘍マーカーの減少も認められなかったから・・

飲み方が足りないと言われれば、それまでだけれど・・
彼の癌のタイプには効かなかったと言われれば、それまでだけど・・
ただ・・・確かだと思えることは、
免疫力のUPには、効果はあったという事!
「フコイダンを飲むと、痰が出やすいんだ」という事も言っていた・・
彼のCEA値が1000近く(正常値5以下)になった状態でも、
痛みを除けば普通に過ごせたのは、
フコイダン+アルファのサプリメントのおかげだと思っている・・・

フコイダン療法のみの治療に限界を感じた私たちは、
次なる治療法を模索しながら、日々増強する腰の痛みや、
右背部痛に、対症療法として処方されていたモーラステープや
ボルタレン坐薬は一時的な気休めでしかないと判断し、
主治医にMSコンチンの処方を依頼した。

彼は、麻薬の使用=最後みたいな観念を当初から持ち続けて
いたのだけれど、わかりやすい情報を集め、彼に時間をかけて
向かい合い、痛みを我慢することの悪循環を説明してはいた・・
彼の意思で「使用する」と言ったのが、この頃であった・・・

もう、麻薬しかない・・と、わかってはいても
いよいよペインコントロールを行わなければならないんだ・・
というのは、私自身の気持ちの中でも複雑だった・・
それ以上に、彼の気持ちを想うと・・辛かった・・・