ゲルソン療法フコイダン

彼にとって、抗がん剤治療も入院も、心の負担にならなくなった

事もあり、ある意味、私達はとても充実した時間を過ごしていた

抗がん剤の副作用って・・どこに行っちゃったの?と言うくらい・・

彼は、フツーの人だった・・癌は消えてしまったんじゃないか?と

思えるくらい・・癌ではないのか・・と思ってた時期も、実際癌だと

告知された時にも・・その後も、この現実が夢であって欲しい!と

思ったことは1度もない・・けれどこの時期ばかりは、彼が癌だな

んて、夢だったんじゃないの?って思えた・・

抗がん剤の効果も 確かに現れているのだとは思っていたし・・・

抗がん剤治療を受けたからこそ、次なる道にも進めているのだと

思っていた・・癌というものはダイレクトに痛みや辛さも届けてくる

が・・反面いろんな事を気づかせてくれるし、自身の想いの扉に

「死」というタイトルが掲げられているのであるから、ひとつひとつ

物事の本質が否応なしに見えてくるのである・・

この時期・・いろんな話しをした・・今、やりたい事・・やっておかなく

てはならない事・・最初の仮退院の時の、焦燥感の中での行動と

違い、少しは心に余裕?もでてきた・・ゆっくり、じっくり生きていこ

うという気持ちになれていた・・「こんなふうに人生を見つめられる

のも癌だからこそ・・だな」と言う彼の言葉の奥深くに在る本音を

私は見つめていた・・自分の余命を宣告され その与えられた時間

をどう生きていくか・・痛みがなければ、時間は自由に余っている・・

痛みがあると、心はすぐに不安にかられ・・マイナス思考になる・・

それでも生かされている・・よく話していた事に、たとえば交通事故

や天災などで一瞬にして命を落としてしまう人もいる・・脳卒中や、

心筋梗塞等で、一命は取り留めたものの植物状態、あるいは意識

はあるものの喋れない・・食べれないで寝たきりになる人もいる・・

それを宿命だと言ってしまえば、それまでだが・・家族にとっては、

受け止める気持ちは千差万別だ・・何がよくて何が悪いのか、捉え

かたは違う・・彼は「俺は癌になって良かったって思えるよ・・君とこ

うして想い出作りができるしな・・」そんなふうにプラスに思えるのも

今は痛みがないからだ・・彼は痛みがあるときでも、鎮痛剤は半分

しか飲もうとしなかった。「痛みを少し感じているほうが、癌を感じる

事ができるから・・痛みを感じないと癌であるという現実を忘れてし

まうんだ・・痛み止めは、あくまで誤魔化しだからね・・それで、癌が

よくなるわけではないんだから!」と・・彼の考え方だった・・

この考え方は、後にコンチンや塩酸モルヒネを飲むようになってから

も変わらなかった・・・

ある日、野菜ジュースを飲みながら、「これを試してみようと思うんだ

けど、調べてくれるか?」そういって切抜きを渡されたのが、フコイダ

療法の事を書いた本だった・・すぐに本屋に行って購入・・・

読んでみた・・彼は活字を読むのが苦手だったので、活字大好きな

私が読みながらポイントを伝えていった・・今ではフコイダンといえば

割と耳にするが、当時はまだ・・私達には耳慣れない言葉だった。

その頃は、癌といえばアガリクスの方が知られていた・・でも、アポト

ーシスという言葉が、何故だか凄く強力な味方のように思えた・・・

さっそく「自然治癒力を考える会」という所に電話をして説明を聞き、

とりあえず、試しに2本頼んでみようということになった。値段も結構

な金額だった・・でも、入院して抗がん剤を受けると思えば・・彼にと

っては、比較の対象ではなかったようだ(笑)ゲルソン療法に続き、

自然治癒力、免疫、アポトーシスという言葉がとても魅力でした・・・

彼の手のひらは、順調に人参色になっていました・・・