癌性疼痛については「ペインコントロールについて」
書かせていただきましたが・・・少し「痛み全般」について
お伝えしたいなと思いました・・・

「痛み発生のメカニズムについて」

痛みの原理は、まだはっきりと解明されてはいません。
おおよその説としては、体のどこかに痛みの発生する原因が
あって、そこからの刺激が神経を伝わって脳に行き、脳が
「痛い」と判断をくだしたものが「痛み」と感じるという事です。

(特殊説)として、痛みを専門に感知するセンサーがあって
それが痛いという情報をキャッチして脳へ伝えるという説と
(パターン説)として、痛い・寒いも 圧迫感も 温かいも、何でも
感じるセンサーがあり、そこで感じるものが総合判断された結果
「痛い」なら「痛い」という感覚となって脳に伝えられるという説が
あります。

感覚などの情報を脳に伝える神経の糸には、太いものから
細いものまで、さまざまなものがあります。
キーンという鋭い痛みと、重苦しいような鈍い痛みといった
2種類の痛みを伝えるのは、それぞれ別の神経の糸であると
されています。神経にも、さまざまな太さがあるということです。
電気や通信のケーブルをイメージされるといいと思います。

体のどこかを強くぶつけると、ズキンと痛みが走る。
これをファーストペイン(第1の痛み)といいます。
ついで、じわじわと痛みが続く。これをセカンドペイン(第2の痛み)
といいます。一般的にはファーストペインは太い神経・・・
セカンドペインは細い神経の伝達作用によるとされています。

特殊説は1番納得できる説とされ、パターン説は痛みについて
より微妙な機微の説明が可能な説とされています。
しかし、どちらの説でも苦しい部分が、伝えるケーブルを切断
しても、痛みが起きる患者さんについて説明がつかない事でした

その後、ゲート・コントロール説という痛みのメカニズムについて
新しい説が出されました。

この説は、脊髄の入り口で特殊な細胞が脳の指令を受け、痛み
のパルスを遮断するように働きかけます。ここで、ゲート(門)が
開閉され、痛みを遮断させたり、通過させたりして、痛みをコント
ロールしています。ゲートの開閉には、先に述べた太い神経と
細い神経も関わってきます。

痛みを感じると、人間は思わずその部分を強く押さえつけたり
しますが、これは太い神経を働かせてゲートを閉ざし、痛みを
遮断しようとする反応なのです。

痛みとはデカルトなどが考えたように、ごく単純な刺激と反応の
パルス伝達ではなく、ゲート・コントロール説でわかるように、
大脳皮質(人間の知性をつかさどる)が痛みに関わってきます。
だから、痛みの感覚は、人の感情や思考に左右されるのです。
たとえば、夜になり あたりが静かになると、患者はあれこれ考え
をめぐらせてしまい、かえって痛みが増したりします。

また、痛みの感じ方は、個人差や民族差がありますが、それは
人によって、あるいは民族によって、ものの考え方がそれぞれ
違っている為です。さまざまな複雑な側面があるということです。