長いようで短い・・短いようで長い・・
そんなホスピスでのペインコントロール入院・・・

点滴もすべてフリーに・・
そして経口投与によるペインコントロールも安定してきた。
安定といっても、痛みがなくなるわけでは 勿論ない・・・
増強していく痛みに対応できる薬の駒が増えたという事だ。

この時点で服用していた薬は 定期薬として
朝→リンデロン・リタリン・ボルタレン・ガスター・メリスロン・マグミット
昼→メリスロン・マグミット・調整でプルセニド
夕→ワイパックス・デパス・ボルタレン・ガスター・メリスロン・マグミット

リンデロン・リタリンは「目覚めスッキリ薬」と彼に説明・・
ボルタレンは「骨への痛み止め」で胃薬のガスターとセット
マグミットは便を軟らかくする薬で、プルセは下剤・・
ワイパックス・デパスは安定剤で
メリスロンは目眩、吐き気止め・・

+αで下剤にラキソ・・眠剤でレンドルミン
目眩、吐き気止めにノバミン、トラベルミン、ナウゼリンを
定期薬で効果が現れない時に変更、追加していた。

ナース管理としてオキシコンチン・マルピー(レスキュー薬)
ケタラールシロップ・・屯用でボルタレンSR50
そのほかに右背部と右前胸部の骨が突出した部分には
日に1〜2回鎮痛剤入りの湿布ミルタックスを貼付していた。

薬杯に入れてあげた薬をみるだけで
「薬だけでお腹いっぱいになっちゃうよー」と言っていた。
本当にそんな感じだった・・・

薬が安定し、「おうちに帰りたい」という想いも募り・・
なのに・・彼の表情には不安が見え隠れしていた。
今までに見たことのない彼がいた・・・
それだけ、言葉には表さなかったが・・・彼の体の中は
深刻だったのだと思う。

彼の不安は、息子さんの「今まで親父が生きてきたとおりに
やりたいようにやれよ!」というひと言によって、踏み出す事が
できたように思う。
癌の進行もさることながら・・肺炎から危篤状態に陥り、生死の
境を彷徨った3日間の記憶が、体には深く刻まれていたのかも
しれない・・・

ホスピスは・・患者さん本人の本当の気持ち・・希望に添って
色々な対策を考え、バックアップしてくれる。
彼の不安に対しても、家に帰っても辛かったらすぐにホスピスに
戻ってこれるのだということ・・
訪問看護師さんを派遣して点滴を行なうこともできるということ・・
不安の要因となることを、ひとつひとつ除去できるように
対処し安心を届けてくれた・・・

院長先生の配慮で、いきなり「退院」という形ではなく、2泊3日の
外泊という形にして・・彼自身が「大丈夫だ」と思えたなら
そのまま退院ということに・・・「まだ不安だ」と思えば、また病院
に戻るということで・・とりあえず外泊の準備を始めた・・・

この日2度目の雪が降り・・高台にあるホスピスは一面、
白銀の世界に包まれた・・・
夜中に降り積もる雪を見つめながら・・心まで純白に包まれた
気分だった。朝の5時からテラスに降り積もった雪で、
可愛い雪だるまを作った・・・
彼が目覚めた時に、見える位置に置き 彼が目覚めるのを待つ。
不安も心配も・・すべてはこの日の雪がリセットしてくれた気がした

イヴの前日・・彼は念願の自宅に帰ることができたのだった。