PET検査のフィルムは
あまりにも衝撃的で・・・
あまりにも現実的で・・・
私の中で築き上げてきた「希望」を
一瞬にして 打ち砕かれた気分だった

日に日に低下してゆく彼の体力・・
私の目から見ても、顕著だった・・
彼を支えているもの
それは 彼自身の、人生に対する想い・・
大切な人たちへの愛しさ・・

それでも・・抗がん剤投与をしていた頃とは違い・・
自らの強い意志で「生きている」というよりは
一瞬一瞬を、「生かされている」という感じだった・・

痛みを感じていない時は
「どこか出かけようか」と・・いつも気を使ってくれた・・
痛みを感じていない時・・と言っても
正確に言うなら、動きたくない→動けないほどの痛みを
感じていないと表現したほうが正解だろう・・・

麻薬を飲んでも、完全に痛みが消え去るということはない
そう言っていた・・・
免疫力が下がり始める午後・・特に夕方に、かなりキツい
痛みが出現していた。
痛みにも・・いろんな痛みがあるということが伝わってきた

薬を飲んだのに・・時計ばかり見ている・・
「まだ1時間前に飲んだばかりだよな?」
6時・14時・22時・・何度もTVの画面のすぐ上に貼ってある
薬の時間割を見ている・・・

ペインコントロールの記事でも書いたように
MSコンチンは即効性タイプではない。
血中濃度が最高値にたどりつくまでには、1時間ほどかかる

なんどか私が仕事に行っている時に、この事を忘れ(忘れた
というより、本当に飲んだか不安になって)勝手に、もう1錠
飲んだりしてた時があり・・帰宅した時にドロドロになっていた
事があったため、確認のために時間割を書いて貼り
昼のMSコンチンは別の小箱に入れ 薬を出した後の空ゴミも
また小箱に入れておくようにしてもらった。

そうすれば飲んだという事が 自分でも確認できるから・・・

この頃ウトウトしている時に、よく夢のような幻覚のようなものを
見ていたようで、突然「切って!」と言うので 「何を切るのかな?」
と聞くと、「右わき腹(肋膜転移のあたりを指して)から、白い毛が
どんどん生えてきたんだよ・・そして、その向こうから天使がやって
くるんだよ・・」とか「魔女が3人いて、次々とやってくるんだよ」

夢というよりは幻覚であることは間違いない・・
だけど、そのことを楽しそうに、少し得意気に言う彼のキャラに
支えられているのは私の方だった・・・

「希望」を捨てた時に・・は一気に攻めてくる!
再燃し始めた癌細胞を見て、怯んでいるわけにはいかない・・・
まだまだ選択肢はある!
そう自分に言い聞かせた・・・