ペインコントロールに使う薬について(MSコンチン、塩酸モルヒネ
 MSコンチンと塩酸モルヒネの臨床上の効果比は1:1と考えて良い。
治療初期においては、塩酸モルヒネを使ったほうが至適用量を早く
決定できる。効果と安全が確認された時点で、塩酸モルヒネの1日量を
MSコンチンにより分2で投与する。もし、1日の投与量が奇数錠になる
ときは、夜間の分を1錠多くすると良い。

最初からMSコンチンを用いるときは、1回10〜20mg(20〜40mg/日)
とし効果をみながら漸増していく。
増量は1回量で、10→20→30→40→60→80→120mgとしていくとよい。
MSコンチンを使用する場合、痛みが治まらない場合の補助的な手段
として速効性のモルヒネ製剤を併用させるとよい。
具体的にはMSコンチンの1/3量のモルヒネを4時間毎に服用させる。
この頓用的なモルヒネ使用がしばしば行われるようならMSコンチンの
量を増量する

MSコンチンは徐放錠のため、服用してもすぐには効果は現れない。
しかし、患者が痛み止めを服用して我慢できるのは40分前後である。
痛みが変わらないので立て続けにMSコンチンを服用したため、
数時間してモルヒネの血中濃度が急上昇し、吐き気、目眩、混乱など
の症状が出現し、その後MSコンチンを絶対服用しなくなった例などが
報告されている。MSコンチンの上手な使い方は「いきなりMSコンチン
を投与せず、他のオピオイドで維持量を決め、MSコンチンに移行させ
る」ことである。

MSコンチンは経口摂取が減少していたり、脱水が著しい患者では、
腸管内水分量が減少するため錠剤からのモルヒネの放出が低下し、
効果が不十分となることがある。このような場合は坐薬や持続皮下注
に変更する

塩酸モルヒネ製剤の場合、1回5〜10mgを1日4回から開始する。
必ずしも4時間毎の投与でなくても良い。急激な痛みの増強の場合、
10〜20mgを臨時投与すればよい。鎮痛効果と副作用を慎重に観察
しながら日毎に3〜5割増を目安に徐々に増量して至適量を決める。
モルヒネの経口投与では、日中は4時間毎(午前6時、10時、午後2時
、6時)に投与し、就寝前に日中の1回量の2倍量を投与すると副作用
としての眠気を利用できてよい結果が得られる。ただし、全身衰弱の
進んでいる患者や高齢者では薬が効きすぎて麻酔をかけられたよう
に感じたり見当識障害を示しながら夜間眠れなくなる可能性がある。
このようなときは、就寝時量を2倍とせず、1.5倍とするのがよい。
しかし2倍量投与は多くの患者にとって危険なことではない。

モルヒネの経口投与(MSコンチンを除く)では4時間毎の投与が原則
だが、1回の投与量が60mg以下のときは深夜の投与を省くため、
就寝時に日中の1回量の50〜100%増を投与すると、翌朝まで除痛が
維持され、深夜投与を省く事が出来る。しかし1回量が60mg以上の時
には深夜(午前2時)にも投与しないと痛みの再発で目覚める事が多い。

モルヒネの4時間毎投与では深夜の投与が必要となるが、眠っている
患者を起こしてまで服薬させることは実地上多くない。
しかし以下の場合は夜間の服薬を行った方がよい。
1,小用、服薬などで夜間に起きる習慣を持っている患者。
2,朝まで除痛が得られるよう服薬法を工夫したにも関わらず、
深夜以降(午前3時〜6時)に痛みがあって眠れない患者。

モルヒネ製剤を服用すると、すぐに薬が吸収されるのではなく、
剤型によってモルヒネの吸収速度・量が異なる。モルヒネ水を内服
すると、大体10分くらいで吸収を開始し、30分くらいで最高血中濃度
に達する。
MSコンチン錠は内服してから、大体1時間くらいから1時間半くらい
たってから吸収が開始されて、約3時間後に最高血中濃度に達する
アンペック坐剤は、肛門から入れて大体30分後くらいから吸収が
開始されて、約1.5時間後に最高血中濃度に達する。
このことをよく理解し、また患者に説明をしておかないと、例えば
疼痛がひどくなったときにMSコンチンを増量しても1時間以上効果
が出ないため、患者の信頼を失うことにもなる。
鎮痛効果の発現にはモルヒネ水で30分・・アンペックで1時間・・MS
コンチンで約2時間かかる。このことを患者に説明しておかないと
患者がモルヒネに不信感を持ったり思わぬ副作用を招く事がある。

鎮痛剤投与の第一選択は経口投与である。
しかし、病態によってはそれが不可能なことも少なくない。
病態に最も適切な投与経路を選択する必要がある。基本的には、
1.経口、2.経直腸、3.経静脈.皮下、4.硬膜外の順に考える。

癌性疼痛に経口モルヒネ60mg以下で痛みがコントロールできる患者
は約半分、180mg以下で75%、240mg以下で約80%の患者の痛みが
コントロールできる。
なかには5400mg/日のモルヒネの経口投与で痛みが何とかおさまった
患者もいる。
この患者は5400mgを2ヶ月飲みながら自宅で生活し、週に2回ほど
会社に通った。もちろん意識は完全に鮮明であった。

ここまで、沼津市立病院 薬剤部 真野 徹先生の(癌疼痛に対する
麻薬性鎮痛剤の処方 第5版)の一部を引用させて頂いたのですが、
この情報を得ていたおかげで、ペインクリニックにおいて、主体的に
治療法を選択することができ、後のホスピスにおいても、納得した
ペインコントロールができたと思っています。

痛みも症状の現れ方も、人それぞれであるということ・・・
癌の進行具合も位置も、癌を感じる心も・・痛みを感じる心さえも
人それぞれだということ・・・

今までも、何度か書いてきましたが・・・
不安に思う気持ちが痛みを助長するということだけは、確かな事の
ように思います・・・
難しい事だとは思いますが、痛みを感じる時には、素直に痛い・・と
言える環境・・
そして痛みを和らげる事のできる手段(駒)は、どんな方法であっても
多く持っていたほうが絶対にいいと思うのです・・・
支える側においても、痛みを訴えているのに何も出来ない・・という
事は、とても辛いことなのです。

心と体のバランスを保つということは・・本当に難しい事だと・・・
こうして、彼との日々を・・そして現実を生きている今、この瞬間にも
痛いほど感じています。

もしかしたら、このブログは彼の想いを・・という名目の元に
自分自身を見つめ直すために書いているだけなのかもしれない・・
自己満足なのかもしれない・・なんて思ったりもしています・・

今日は彼の月命日・・・彼を感じながらも・・彼がいないという現実に
自問自答している私がここにいる・・・