主治医の先生が、再度の抗がん剤治療を勧める中、
イレッサは、彼の場合・・男性である事、喫煙者である事等の
理由により、ガイドライン上適応しないと判断され、
残る選択肢は、入院によるタキソール単剤投与法しかないと
先生はきっぱり言い放った・・・

彼の言葉からは、抗がん剤そのものが嫌というよりは
抗がん剤治療による入院が嫌なのだという事が はっきり
伝えられている・・・だけど、入院という点に関しては・・先生も
妥協しようとはしない・・・彼は「ダメ」という一点張りの先生の態度
そのものが嫌なのだろうなと思えた・・・

私は、彼が抗がん剤を選択しない事に 内心ホッとしていた・・・
もちろん、彼が選択した事には どんな治療であっても寄り添い
支えていく気持ちは変わることはなかった。
ただ、私自身が抗がん剤の副作用を恐れ、不安でしょうがなかった
のである・・・

イレッサには重篤な間質性肺炎・・・
タキソールにはアナフィラキシーショック・・・
どちらも最悪の場合を考えた場合、受け止めたくないというか
癌でなく、薬の副作用で彼を失うかもしれないという事が
絶対に嫌だったのである・・・そう・・・癌のための治療で、
癌が死ぬのでなく、彼が死ぬかもしれないなんて納得もできないし
後悔すると確信していたから・・・

そして、先生との妥協点も見出せない事もあって
抗がん剤治療での延命は、考えない事にした・・・
抗がん剤治療は今後やるつもりはない・・と先生に告げた途端
これは、私たちの受け止め方の問題かもしれないし
一般的に考えて当たり前の事なんだろうと思うけれど
先生の「わかりました」という言葉の向こう側に
「これで、この病院との繋がりは切れました。後はお好きに
していいいですよ」という印象を持ったことは事実である。

先生が冷たいとかではなく・・・今の医療体制において
患者の多い大きな病院では致し方ないことなのだと思うから・・

方向性の見えないまま、
その時点で行なっていたフコイダン療法を取り入れている
A医院のセカンドオピニオンを希望している旨を告げ
紹介状を依頼すると 「何の医院ですか?そこは・・・」と
言いつつも 自分の役割はこれで果たしましたよ!と言わん
ばかりに、すぐに紹介状を書いてくれた・・・
私達が半年間お世話になった主治医の先生は、県下では
有名な医師で その後どこの病院に行っても話題にあがった
普通なら、その医師の元で、その医師の提示してくれる
出来る限りの治療を受け、それで選択肢が途絶え・・
なおかつ、痛みがコントロール出来なくなった時にホスピスへの
転院というパターンで終わる事が多いだろう・・・

ただ私達は、まだ他に選択肢がある!という可能性を捨てたくは
なかったのである。ー生きている以上ー
ー生かされている以上ー・・彼が望む限り・・・

こうして、フコイダンのメーカーを仲介として、A医院に予約を入れ
いろんな意味での不安と期待を抱え、北九州へと車を走らせた

季節は完全に冬に突入していた・・・