秋・・4クール目の抗がん剤治療・・発熱、吐き気、倦怠感、脱毛・・
何ひとつ副作用もなく、無事に2泊3日×2回の入院で終えること
が出来た・・
強いて、副作用と呼べるものがあるとしたならば・・4クール計8回の
抗がん剤による、血管の硬化のため ルートキープが難しく・・途中
何度か点滴漏れを起こし、9本の点滴のうち 最後のほうは、18G
から翼状針に変えるほど 血管が脆くなっていたという事だ・・・
傍から見れば、姿形 元気そうに見えるのだけれど 一緒にいる
からこそ気づくことも多い・・・

先にあげたものが、表立った副作用だとすると、裏の部分の
副作用に、足先の指の痺れが不快症状として現れていた・・・
いわゆる「抹消神経の感覚麻痺」というものだった・・・
この副作用に関しては 効果的な対処法はないとの事だった
ひたすら、心をこめてさすってあげたりして マッサージをしてあげる
しかなかった・・・
それに、癌になって 治療しても改善されなかった症状は「息切れ」
であった・・・
もともとは、割と足早に歩く彼だったが・・肺がんが判明してからは
数十メートル歩いては、立ち止まり 口をすぼめて、大きく息を吐く
姿が目立ってきていた・・・
呼吸器の病気だから あって当然の症状だが・・最初の頃は、歩幅
を合わせるタイミングが掴めず 彼に注意された事があった。
きっと、置いてきぼり?取り残される感じがしたんだろうなと思う・・・

9月・・秋の気配を感じる最中・・・彼は、またひとつの想い出を
プレゼントしてくれた・・私の誕生日プレゼントにと、南阿蘇への
1泊旅行を 今回もまた私の娘と企てていたのである・・・

出逢いのきっかけが、流星群の夜だったこともあり 彼はいつでも
私の大好きな星達に関係するものを 何かしら探し出しては
誕生日や、記念日にプレゼントしてくれた・・・

この南阿蘇への1泊旅行は、南九州1の天文台を備えた
ペンションということで、限りなく本物の星に近いものを・・
ということで、予約してくれていた・・・
・・阿蘇の雄大な自然・・それだけでも心には十分なエネルギーが
充電できた・・・
「森のアトリエ」というペンションも素晴らしいところで、
自家農園から収穫した無農薬野菜たちは、食事療法にもマッチ
していたし・・料理も美味しかった・・
本館の離れにあるコンドミニアムに宿泊したのだが、この空間が
身も心も とても溶け込めてリラックスできた・・・
夜には、少し離れたところにある農園の空き地に ビールと
フコイダンとコーヒーを持っていき・・・二人で寝そべって
中秋の名月と、秋の星座達の下で 手をつないで心で会話した
出逢った日の事を思い出しながら・・・

癌である事も、カウントダウンされている命であることも
すべてをリセットして ここから新たな出逢いをスタートできたら
いいのに・・・
せめて、こんな夜には、現実を心の隅に追いやり
二人の未来予想図を思い描きたいと思った・・・
・・旅に行く事の醍醐味は、そんな特典までついている事だ♪

「来年も、またここに来たいな・・」 「そうだね・・」
「神様は いつ俺の命のロウソクの灯を吹き消すのかなぁ?」
「吹き消したりはしないよ・・ちゃんと燃焼させてくれるよ・・こん
なに懸命に生きているのだから・・」
想いを共有していた・・・果てしなく広がる満天の星空の下で
たったひとつの輝く命を見つめていた・・・

抗がん剤治療を終えた今・・これから癌とどう向かい合って
生きていくか・・・心と体はどう変化してゆくのか・・・
どんな明日になろうとも、「今」という瞬間で捕らえて
私は彼の心に寄り添って 共に癌と共存してゆく・・・
私の生きてゆく答えは変わらなかった・・・
・・彼の心の輝きを・・命の輝きを絶やさないように・・・

素敵なバースディプレゼントありがとう・・・
彼の手を強く握りしめた・・